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2021.06.03

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今秋の米価下落は、政治に大きな影響を与えることになるだろう

今国会最後の農林水産委員会での質問になると思ったので、一番気になる「コメ政策」について野上農水大臣に質問しました。

 

昨年からのコロナ禍による需要減でコメの需給が緩み、2021年産米の米価下落の懸念が高まっています。全国の農家が心配しています。米価の下落は、消費者にとっては朗報かもしれませんが、生産者にとっては営農を継続できるかどうかにかかわる死活問題です。

農林水産省は、需給の安定をはかるためには、2021年産米の6.7万ha分の作付面積削減が必要としていますが、現時点で3万ha分の削減しか実現できていません。しかもすでに多くの地域で田植えが終わっています。大臣は、この過剰作付け分を、主食用米から飼料用米(エサ米)に転換することで、主食用米の需給を引き締めると答弁しました。しかし、昨年(2020年)の飼料用米作付面積は約7万haですから、今から飼料用米の作付面積を3万ha増やすということは、作付面積を昨年比1.4倍にすることを意味します。それを、営農計画の締切りの6月末までの残り4週間で実現するのは現実的ではありません。

そもそも、農林水産省は、コロナの影響による需要の減少を5万トンとしていますが、JA全中は10万トン以上としています。長期トレンドによる減少分が毎年10万トンですから、昨年に比べて、コメの需要は20万トン以上減少すると考えるのが自然でしょう。

 

農林水産省の試算は、供給も需要も甘い見通しに立っています。

需要が想定以上に減り、供給量も過剰である現状を放置すれば、米価下落は避けられません。市場原理に任せて下落すればいいという意見もありますが、再生産可能な所得を得ることができなければ、農家の生産意欲が削がれ、特に、高齢農家の離農を助長するでしょう。そうなれば耕作放棄地が拡大し、地方はますます荒れていきます。

 

そもそも、「減反を廃止した」とか、「国が主導する生産調整はやめた」とか、「需要に応じた作付けを行う」とか、いかにも「改革っぽい」ことを言いながら、実態は、官民挙げて作付面積の削減に血眼になっている姿を見ていると、その「改革」が偽物であることがよく分かります。

 

飼料用米への転換も含め、税金を使って主食用米の作付面積の調整する政策は、広い意味ですべて「生産調整」です。であれば、正面から生産調整の必要性を認めた上で、かつての戸別所得補償制度のように、助成と生産調整を組み合わせた制度とし、生産調整に協力すれば再生産可能な所得を補償する助成金を出す。逆に、助成金を放棄するなら好きなだけ作れる。そんな「メリット型制度」にした方が、シンプルで効果的なコメ政策になります。

 

あるいは作付転換に助成金を出すなら、家畜用の飼料づくりではなく、人間の食べる麦作にもっと出すべきだと個人的には考えます。確かに、麦は収益が少ないのですが、労力も少なくて済むし、面積をこなせば、時間当たりの収入を大きくすることも可能です。もちろん、排水改良や畦畔除去などの土地改良も必要です。さぬきうどん用の小麦のほとんどオーストラリア産だというのは残念な実態で、国産小麦を増やしたいものです。

 

とにかく、菅政権のコメ政策には矛盾が目立ちます。今のままでは出来秋の米価下落は必至です。そして、それは政治にも大きな影響を与えることになるでしょう。