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2021.06.03

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13年前の漁師の言葉からはじまった法律 〜 瀬戸内海をSDGsの見本市に

■13年前の漁師の言葉

「ノリの色落ちは、海がきれいになり過ぎたことが原因だ。なんとかして欲しい。」
 
初出馬した選挙に落選して地元を回っている時に、地元の漁業関係者からいただいた言葉です。(2008年4月15日のブログ
 
以来、瀬戸内海におけるリンや窒素といった栄養塩類の管理問題に取り組んできました。(2010年3月25日のブログ2015年1月13日衆議院農林水産委員会議録)そしてこの度、特定海域へ栄養塩類の提供を可能とする瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)の改正案が成立する運びとなりました。立法府に身を置くものとして感無量です。
 
その思いを胸に、6月1日、小泉進次郎環境大臣と国会で質疑を行いました。
 
 
栄養塩類管理制度に向けたこれまでの道のりは簡単ではありませんでした。10年以上前、地元の漁業関係者と水産庁を訪れた際にも、ノリの色落ちと栄養塩不足の因果関係を認めてもらえませんでした。その後も、長く「ゼロ回答」のような状況が続きました。

 

■海域ごとに異なる事情

さらに問題が難しかったのは、海域ごとに事情が全く異なることです。例えば、狭い香川県でも、庵治(あじ)や引田(ひけた)ではハマチの養殖を行なっており、富栄養化による赤潮に苦しんできた歴史があるので、栄養塩類を増加させることはご法度。一方で、両地域に挟まれた志度湾の鴨庄(かもしょう)では海苔の色落ちが深刻で、栄養塩類の増加が急務です。まさに利害がバラバラで、課題が場所によって様々なのです。

だからこそ、今回の法改正で栄養塩管理制度が新設され、海域ごとのきめ細かな栄養塩管理が可能となったことは画期的な進展です。超党派の「瀬戸内海再生議員連盟」の先生方にも大変お世話になりました。

 

ただ、海域だけでなく季節によっても事情が異なるので、今後、都道府県が管理計画を策定する際には、関係者の意見を十分に反映することや、都道府県に丸投げするのではなく、国(環境省)としても、水質目標値の設定などのガイドラインを示して行く必要があります。この点は、私から小泉大臣にも改めてお願いしました。

 

加えて、計画策定後も継続的なモニタリングを行い、必要に応じて管理計画の見直しを行うべきと質問したところ、小泉大臣からは、「環境省は年4回の水質の測定を実施しているが、栄養塩類管理に当たってのモニタリングについても、同様の頻度で行うことを想定している。海域ごとの特性に応じて、測定する点や頻度を増やすことも考え得る」との答弁がありました。特に、新制度が始まった直後は、頻繁にモニタリングを行い、問題がないか緻密にチェックしてもらいたいと思います。

 

■海ごみ削減先進県の香川

栄養塩関係だけではなく、今回の法改正では、海洋プラスチックごみの発生を抑制するための国や地方公共団体の責任が明記されることになりました。実は、海ごみの多くは陸域で発生しており、香川県では2013年から、漁業者・市町・県が協働して、海ごみの回収・処理の取り組みをスタートさせました。沿岸地域だけでなく内陸部まで含めた取り組みは、当時全国初の試みで「香川方式」と呼ばれています。香川県の環境管理課もよく頑張ってくれていて、「かがわ海ごみリーダー」の人材育成事業も積極的に進めています。

 

そこで、私から小泉大臣に対して、環境省としても、こうした香川県のような取り組みを積極的に応援し全国展開すべきではないかと質問したところ、「応援する」と明確な答弁がありました。

 

さらに高松市のNPO法人「アーキペラゴ」が、瀬戸内海の海ごみ問題に関してクリーンアップイベントに取り組んでいることや、ペットボトルなど使い捨てプラスティックを削減するため、マイボトル持参者がお水やお湯を補給できるうどん屋さんなどを記した「オアシスマップ」を作成していることを紹介しました。

 

その上で、小泉大臣に以下の2点を提案しました。

 

提案① 牡蠣養殖パイプの流出抑制

瀬戸内海の海岸漂着ごみで多いのが「牡蠣養殖用のパイプ(まめ菅)」で、遠くアメリカのミッドウェーやハワイにまで漂着している。この牡蠣養殖用のパイプの発生抑制について、都道府県任せにせず、水産庁とも連携して、流出抑制に向けた国としての指針を示してはどうか。

 

提案② ボトル給水型の給水機設置

コロナの影響もあって、公共施設の「直飲み」給水機が撤去されているが、飲料用プラスチックボトルを削減するためマイボトルを推進するためにも、公共施設に「ボトル給水型を併設した給水機」の設置を進めてほしい。

これらの提案に対して、小泉大臣から前向きな答弁をいただきました。

 

①については、「今後、この法案が成立した暁には、環境省、農水省ともよく連携をやっていますから、この連携の中でどのような対策ができるか考えながら、連携を深めていきたい」と農水省とも連携して対策を講じることを約束してくれました。

 

②についても「自治体の中でも、マイボトル給水機などを含めて、広がっていくような展開につなげていけるように、努力を重ねてまいりたい」と前向きな答弁がありました。これから、具体的に進んでいくことを期待していますし、私も継続的にフォローしていきます。

 

■瀬戸内海をSDGsの見本市に

最後に、小泉大臣に対して、海洋プラスチックごみを減らすためには、3R(リサイクル、リユース、リデュース)が重要だが、並列ではなく、「リデュース(減らす)」の一点突破で取り組むべきだと提案したところ、「確かに、3Rですから並列に思われるかもしれませんが、一番重きを置いているのはリデュースです。ですので、リデュース、リユース、リサイクル、 この順番であることをしっかりと伝えていきたい」と、「リデュース最優先」を明言されました。ここに、小泉大臣の本気度を感じることができました。

 

2015年の国連サミットで決められた国際社会共通の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」には17の目標がありますが、その14番目は「海の豊かさを守ろう」です。その中には「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。」というターゲットも含まれています。

 

私は、この法案の成立を期に、瀬戸内海を「SDGsの見本市」にしていきたいと思います。それが瀬戸内海に育ててもらった自分の、次世代への責任だと考えます。

 

※質疑の動画はこちら(衆議院インターネット中継、2:54:10頃から)